マレーシアで生活する上で欠かせない制度のひとつが「EPF(Employees Provident Fund)」です。日本でいう確定拠出年金に近い仕組みで、給与から天引きされる積立金を長期的に運用し、退職後の生活資金を確保する制度です。この記事では、制度概要から申請方法、過去の利回り、オフィス情報、そして私自身の一部払い戻し体験談までを詳しく紹介します。
EPF(Employees Provident Fund)の制度概要
- 制度の目的:従業員の退職後生活を支えるための積立制度。給与から一定割合を拠出し、雇用主も同額を負担。
- 拠出率:従業員11%+雇用主12〜13%(給与額により変動)。外国人は2025年10月以降、2%ずつの拠出が義務化。
- 対象者:マレーシア人、永住者、そして2025年10月以降は外国人労働者も義務加入。
- 口座構成(2024年改正後):
- Akaun Persaraan(75%):退職用。原則55歳以降引き出し可。
- Akaun Sejahtera(15%):住宅・教育・医療・50歳時の部分引き出し。
- Akaun Fleksibel(10%):いつでも自由に引き出し可能。
この三口座制により、従来よりも柔軟性が高まり、生活資金の一部を必要に応じて利用できるようになりました。
2025年10月以降は外国人労働者も義務加入
これまで外国人は任意加入でしたが、2025年10月からは義務加入となります。
- 背景:外国人労働者の増加に伴い、社会保障の公平性を確保するため。
- 影響:給与から自動的に天引きされるため、手取り額は減少。ただし長期的には安定した資産形成につながる。
- メリット:退職後に積立金を全額引き出せるため、帰国時の資金確保にも有効。
2025年以前は外国人労働者はEPF任意加入でしたが、雇用者側も任意拠出でしたので、現行の2%どころか、5RMのみ拠出する企業もありました。外国人労働者にとっては現行制度のほうがお得、、かもしれません。
EPF Begins Mandatory Contributions For Non-Malaysian Citizen Employees Effective October 2025
マレーシア人と外国人労働者の拠出率比較
EPFはマレーシア人と外国人労働者で拠出率が異なります。2025年10月以降、外国人労働者も義務加入となりますが、拠出率は大きく抑えられています。
| 項目 | マレーシア人 | 外国人労働者 |
|---|---|---|
| 従業員拠出率 | 11% | 2% |
| 雇用主拠出率 | 12〜13% | 2% |
| 合計拠出率 | 約23〜24% | 4% |
| 対象開始時期 | 常時義務加入 | 2025年10月以降義務加入 |
| 払い戻し | 原則55歳以降全額 | 帰国時に全額払い戻し可 |
外国人労働者に対するEPFの企業側拠出率は法律で「2%」と定められており、これ以上拠出する義務はありません。ただし一部の企業は福利厚生や人材定着のために自主的に上乗せ拠出を行うケースがあり、例えば外資系大手や日系企業の一部ではマレーシア人と同じ水準(12〜13%)を任意で適用している事例もあります。
転職時の企業評価の際に、福利厚生の一環として外国人労働者に対するEPF拠出率をマレーシア人と同水準にしているか、考察してもよいかもしれません。
過去5年間の平均運用利回り
EPFは株式・債券・不動産などに分散投資しており、安定した利回りを維持しています。
| 年度 | 通常口座 | シャリア口座 |
|---|---|---|
| 2021 | 6.10% | 5.65% |
| 2022 | 5.35% | 4.75% |
| 2023 | 5.50% | 5.40% |
| 2024 | 6.30% | 6.30% |
| 2025 | 6.15% | 6.15% |
平均利回り:約5.8%。定期預金より高く、長期的な資産形成に適しています。
シャリア口座(Simpanan Shariah)は、マレーシアのEPF(確定拠出年金)における「イスラム金融原則に準拠した積立口座」です。通常の口座と同じく退職資金を形成しますが、イスラム法(シャリア)に適合するように、投資対象から酒類、ギャンブル、兵器などが除外されます。
EPF申請要領
外国人労働者がEPF(KWSP)に加入する場合は、基本的にオフィス窓口での手続きが必要です。
- 登録方法:
- マレーシア人や永住者は「i-Akaunアプリ」や「Self-Service Terminal(SST)」でオンライン登録が可能ですが、
- 外国人労働者はパスポートと就労許可証(Employment Passなど)を提示して、EPFオフィス窓口で直接登録する必要があります。
- 必要書類:
- 有効なパスポート
- Employment Pass/Dependent Passなどの就労許可証
- 雇用主からの雇用証明書(必要に応じて)
- 登録の流れ
- 最寄りのKWSP支部に来訪
- 書類提出と本人確認(指紋認証)
- 口座開設完了後、雇用主が給与から拠出を開始
EPF(KWSP)オフィス
KWSP Jalan Raja Laut支部
- 住所:Tingkat Bawah, Bangunan KWSP, Jalan Raja Laut, 50350 Kuala Lumpur
- 特徴:クアラルンプール中心部に位置し、外国人労働者の登録や口座開設に対応。
- アクセス:LRT「Bandaraya」駅から徒歩圏内。
- 営業時間:月〜金 8:00〜18:00(土日・祝日休業)
KWSP Petaling Jaya支部
- 住所:Level 1, Wisma KWSP, Jalan Gasing, 46000 Petaling Jaya, Selangor
- 特徴:クアラルンプール近郊の主要拠点で、外国人労働者の新規登録、指紋認証更新(thumbprint)、積立金払い戻しなどの手続きが可能。
- アクセス:LRT「Taman Jaya」駅から徒歩約10分。
- 営業時間:月〜金 8:00〜18:00(土日・祝日休業)
Akaun Fleksibel口座からの一部払い戻し体験談
私自身、2026年にAkaun Fleksibel口座から一部払い戻しを行いました。
- 手続き方法:i-Akaunアプリから申請はできず、オフィス窓口に行く必要がありました。
- 所要時間:申請から3営業日で銀行口座に入金。
- 利用目的:払い戻しのための特別な理由やそれを証明する資料の提出は求められませんでした。
- 感想:以前、外国人労働者はEPFの一部払い戻しはできないとの話をよく耳にしていましたが、実際は払い戻しが可能であり、もしもの時に活用することができます。一方で、払い戻しは「Akaun Fleksibel」の口座のみが対象で、「Akaun Sejahtera」口座は住宅購入などの用途証明が必要、また、「Akaun Persaraan」口座は本帰国に伴う出国時のみ可能との案内でした。
この柔軟性は、外国人労働者にとっても生活資金の調整に役立つはずです。
まとめ
EPFはマレーシアの確定拠出年金制度で、給与天引き+雇用主拠出により安定的に資産形成が可能。過去5年間の平均利回りは約5.8%と高水準で、外国人も2025年10月以降義務加入。外国人労働者がEPFに加入する場合は、基本的にオフィス窓口での手続きが必要。部分払い戻し制度も整備され、柔軟性が増している。
重要事項リスト
- EPFは強制加入型の積立年金制度(外国人も2025年10月から対象)。
- 拠出率:従業員11%+雇用主12〜13%(外国人は2%ずつ)。
- 平均利回り:約5.8%(直近5年は5〜6%台)。
- 申請方法:i-Akaunアプリ、SST、窓口。
- 外国人労働者は、窓口での手続きが必要。
- 部分払い戻し:Akaun Fleksibelはいつでも払い戻し可、Sejahteraは条件付き
- 全部払い戻し:外国人労働者は本帰国時のみ。
最後に
最後まで読んでいただきありがとうございます。本ブログでは、マレーシアのアウトドア情報や生活に関わる情報を発信しています。他にも下記タイトルの記事を書いていますので、もしお時間がありましたら是非お立ち寄りください!
