イランと米国の対立に伴うホルムズ海峡閉鎖は、マレーシアのガソリン価格、特にRON95の価格決定に大きな影響を与えています。ただし、マレーシア政府が2025年9月に導入した「BUDI95」による補助金合理化(ターゲット絞り込み支給)により、影響の受け方が「補助金対象者」と「一般(市場価格連動)」で真っ二つに分かれているのが大きな特徴です。現在の価格推移と情勢の影響について整理しました。
現在の価格と直近の推移
現在のRON95の店頭価格(2026年6月現在)は、ユーザーの属性によって以下の2つに固定・変動しています。
- 補助金対象者(BUDI95適用者): RM 1.99 / リットル(一律固定)
- 政府の補助対象(一般家庭など)は、月200リットルまでの制限付きで一律RM 1.99に守られています。
- 非対象者(市場価格連動): RM 3.72 / リットル前後(毎週変動)
- 富裕層や外国人、法人の一部など、補助金対象外の一般小売価格は、イラン情勢による原油高の直撃を受けて急騰しました。
直近数ヶ月の「非対象者向け(市場価格)」の推移
2026年に入り、中東情勢の緊迫化に伴って原油価格が急上昇した結果、マレーシアの市場連動型RON95価格は以下のように激しく上下しています。
| 期間 | 補助金対象者(BUDI95適用者) | 非対象者(市場価格連動) | 状況・背景 |
|---|---|---|---|
| ~2025年9年 | RM 2.05 | RM 2.05 | 外国人・マレーシア人を問わず、一律価格 |
| 2025年10月~2026年2月 | RM 1.99 | RM 2.54 〜 2.59 / L | 補助金制度の廃止と「二極化」の始まり |
| 2026年3月 | RM 1.99 | RM 3.27 〜 3.87 / L | 情勢緊迫化に伴い、一気にRM3.0の壁を突破。 |
| 2026年4月(ピーク時) | RM 1.99 | RM 4.27 / リットル | 原油高のピーク。過去最高水準まで急騰。 |
| 2026年5月 | RM 1.99 | RM 4.07 / L | 高止まりが続く。 |
| 2026年6月現在(直近) | RM 1.99 | RM 3.72 / リットル | 若干の調停・落ち着きを見せるも、以前より高水準。 |
イラン・米国情勢が与えた2つの具体的影響
政府の補助金負担(国家財政)の爆発的な増大
マレーシアは石油製品の純輸出(LNGなどを含む)の側面もありますが、国内消費用の精製ガソリンにおいては国際市場の影響を強く受けます。
中東リスクで原油価格が跳ね上がった結果、政府が「RM 1.99」を維持するために裏で負担する月間の補助金総額が、それまでの約7億リンギットから、一時は約40億リンギット(約5倍以上)へと激増しました。
補助金上限(クォータ)の引き下げ
この財政圧迫に耐えかねたマレーシア政府(Madani政権)は、2026年に入り、当初「家庭あたり月300リットル」としていたBUDI95の補助金適用枠を「月200リットル」へと削減する措置をとりました。
さらに、ガソリンスタンドでの給油時に「1回あたり50リットルまで」といった一時的な購入制限(商用車などは100〜150L)をかけるなど、物理的な防衛策に追い込まれています。
まとめ
イランと米国の対立によるガソリン価格上昇の影響は、BUDI95の補助金資格があるかどうかで毎月の燃料費が2倍近く変わってくる状況です。
イランと米国の緊張緩和の兆しが見えれば、現在のRM 3.70台からRM 2.00〜3.00台前半へと市場価格が下がっていく可能性はありますが、中東の地政学的リスクがくすぶり続ける限り、市場連動価格(非補助金価格)の週替わりの乱高下はしばらく続くとみられます。
最後に
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